確定申告電話相談センターは税理士が担当しています

 確定申告の時期になると税務署は電話相談も含めてかなり混雑します。

 そのため税務署と税理士が一緒になって業務を行うこともあり、確定申告電話相談センターの電話対応や税理士会の確定申告無料相談会などがこれにあたります。

 今回は私も参加したことがある「確定申告電話相談センター」について、相談者側が注意しておくべき点、あるいは電話をかける前に知っておくべき点をご紹介していきます。

目次

確定申告電話相談センターとは何か

 そもそも「確定申告電話相談センター」とは、国税局が確定申告時期に設置する確定申告専門の電話相談窓口です。

 1月の中旬から3月15日にかけて各税務署に対して確定申告に関する電話相談が急増することから、各税務署ではなく国税局側で一括して電話対応する形となっています。

 例えば東京国税局の場合、神田会場、神奈川会場、千葉会場の3会場で電話対応しており、私が参加した神田会場では1日50~80人の税理士が9時~17時15分まで電話対応していました。

電話対応は国税局職員ではなく税理士

 ここで注意していただきたいのは、電話対応をしているのは国税局の職員や税務署の職員ではなく、税理士であるというところです。

 相談者の方は税務署に電話をかけていますので、どうして税理士につながるのか疑問に思うかもしれませんが、確定申告電話相談センターは以下のような流れで電話が転送されていきます。

  1. 相談者が税務署に電話をする
  2. 自動音声案内で「確定申告電話相談センターにつなぐ」を選ぶ
  3. オペレーターにつながる
  4. 3で対応できない場合は税理士につながる
  5. 4で対応できない場合は税務署に転送又は他の専門窓口を案内

 つまり、1の時点で税務署の電話番号を押していますが、2で確定申告電話相談センターに転送されていますので、結果的に税務署に電話はかかっていないのです。

 そのため、税務署の人と電話をする必要がある方は、2の時点で「税務署に電話をする」を選ぶ必要があります。

 ただ、感覚的には相談者の約9割から「なんで税務署にかけたのに別のところにつながるんだ」といったニュアンスの質問や不満をいただいたので、国税庁側でもっと分かりやすい案内をした方が良いと思いました。

 私自身、今回参加するまでは確定申告電話相談センターというものを知りませんでしたし、国税庁のホームページや音声案内のガイドを確認してみても、初見あるいは年1回しか見ない人にはかなり分かりにくかったので、私が相談者の立場だったとしたら同じような不満を言いたくなるなと思いました。

待ち時間が長いので電話代が高額になる可能性あり

 確定申告電話相談センターは、確定申告時期になると急増する電話相談に対応するために設置された専用窓口です。

 実際に集計をした訳ではないため、具体的な件数は不明ですが東京国税局から言われていた目安が「電話は1人10分以内、1日70名に対応する」ことだったので、1会場につき50~80名の税理士が3つの会場で1日70件の電話を受けたと仮定すると、毎日10,500~16,800件の電話が東京国税局管内にかかってきていることになります。

 そのため待ち時間が非常に長くなる方が多く、私が相談者の方から聞いた中で1番長かったのは2時間でした。

 この2時間というのもオペレーターから税理士に電話が転送されるまで保留音が流れていた時間なので、実際の電話時間は全体では約2時間半ほどでした。

 仮にスマホから電話していたとすると、電話代は約6,600円(30秒22円)にもなってしまいます。

 また、長時間待たされたあげく電話代は相談者負担ということもあり、かなりストレスが溜まっている相談者の方もいらっしゃいました。

 どうしても確定申告電話相談センターへ電話しないといけない人以外は、以下の方法を検討するのがおすすめです。

  1. 確定申告相談会場のことなど国税庁のホームページに掲載されている内容ならネットで調べる
  2. 税務署への個別具体的な話は自動音声案内で税務署への電話を選ぶ
  3. 確定申告相談会場で確定申告書を作成する

税理士からの相談は受けない

 確定申告電話相談センターは納税者の方が確定申告に関する相談をするための窓口であるため、税理士、税理士事務所職員、税理士法人職員からの質問には対応していません。

 しかし、例年税理士や職員からの相談電話が来るそうで、実際に私も何度か電話を受けました(中には某大手税理士法人からの電話もありました)。

 国税局からは税理士の方には各税理士会の相談窓口を紹介し、税理士事務所や税理士法人の職員の方には内部の税理士に相談してほしい旨のアナウンスをするように言われているので、私もそのように対応していましたが、中には税理士(又は職員)であるにも関わらず自分は税理士(又は職員)ではないと言って相談をされてくる方もいたため、対応に苦労しました。

 もしこの記事を見ている方が税理士、税理士事務所職員、税理士法人職員の方であれば次のことをお伝えしておきます。

  1. 確定申告電話相談センターに電話しても対応するのは税理士ですので税務署の公式見解は得られません。
  2. 複雑な話や例外的な話をされても税務署に行って直接相談してくださいとしか言えません。
  3. 税理士(又は職員)ではないと言っても会話をしていれば「この人税理士(又は職員)だな」と分かりますのでお気を付けください。

一般的な質問にしか対応できない

 確定申告電話相談センターはその名の通り、電話により相談を受けているため納税者の方の手元にある資料やパソコンの画面などを見ることが出来ません。

 そのため、基本的には一般的な回答しかできないことから、次のような質問には回答できません。

  1. 私は○○について△△と考える。それを前提に計算したところマイナス(損をした)だったので確定申告するつもりはない。「××さんは確定申告する必要はない」と断言してくれないか。
  2. 口頭で金額を伝えるので確定申告書に記載する金額と税金の計算をしてほしい。
  3. 某会計ソフトを使って確定申告書を作成した。今から確定申告書の記載内容を読み上げるので合っているか確認してほしい。
  4. 私の計算は絶対合っているのに国税庁の確定申告書作成コーナーでは私の計算が間違っていると出てくる。どうすれば私の計算が正しいと認められるのか。
  5. 某会計ソフトを使っているが、会計ソフト上で確定申告書を作ろうとすると残高試算表の金額と確定申告書に連動させた金額が違う。なぜ違うのか教えてほしい。
  6. 領収書の保存が面倒なので「捨てていい」と言ってくれないか。

 もし、「確定申告書を作成してほしい」「資料やデータにはこう書いてある」「○○をやりたくないので認めてほしい」ということであれば、各税務署の確定申告相談会場に行くか、確定申告シーズンが始まる前に税務署に個別相談に行くのがベストかと思います。

 「電話」は会場に行く手間がないので非常に便利ではありますが、電話特有のデメリットもありますのでご注意ください。

時間がかかる相談には向いていない

 これは内部の事情なので納税者の方には申し訳ないのですが、確定申告電話相談センターの担当者には「より多くの納税者の方に短時間で適切な回答をする」ことが求められています。

 そのため、相談内容が幅広い、計算や検討が必要、分からないところが分からない、といった相談については対応できない可能性が極めて高くなります。

 ただでさえ電話が混みあって待ち時間が長いのに、回答も得られないというのでは納税者の方にかなりのご迷惑をおかけすることとなりますので、上記のような相談内容に該当しそうであれば、税務署の確定申告相談会場や確定申告シーズン前の税務署への個別相談へ行くことをオススメします。

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